サックスにおけるオーバートーン(倍音練習)の必要性【練習方法も】

サックス練習
  • オーバートーンが出ないんだけど……
  • オーバートーン練習の必要性が分からない
  • オーバートーンを出すコツを教えて!

オーバートーンが出なくて途方に暮れている方が非常に多いです。オーバートーン練習の必要性が分からないまま何となく続けている人も多いです。

私も最初はオーバートーンが全く出せませんでした。実音がずっと出続けたり、出そうとしている音よりも高い音が出てしまったり、うまくいかない時期が続いていました。

今では何とか第5倍音まで出すことができるようになりました。

この記事ではたくさんの試行錯誤の結果つかんだコツをお伝えします。

この記事を読むことで、オーバートーンを出すコツがつかみやすくなります。

結論を一言で言うと、オーバートーン練習は音色や音程をよくするために行います。オーバートーン練習をするときには絶対にマウスピースをかまないことが大切です。

オーバートーンが出るようになるためにはかなりの時間がかかるので焦らずにじっくりと練習していく必要があります。

オーバートーンとは:周波数が整数倍の音

周波数が2倍、3倍……の音のことをオーバートーン(倍音)と言います。

仮に基音(おおもとの音)をラ(440Hz)の音だとした場合、倍音は次のようになります。

  • 基音:ラ(440Hz)
  • 第2倍音:1オクターブ上のラ(880Hz)
  • 第3倍音:1オクターブ半上のミ(1320Hz)
  • 第4倍音:2オクターブ上のラ(1760Hz)
  • 第5倍音:2オクターブと少し上のド#(2200Hz)

第6倍音、第7倍音……とずっと続いていきます。

こういった倍音は基音を出したときに同時に出ています。

全く倍音が含まれていない音は自然界には存在しません。人工的に作った音である「ブザー音」などが全く倍音を含まない音です。

つまり、仮にサックスでラの音を出した場合、「1オクターブ上のラ」「1オクターブ半上のミ」「2オクターブ上のラ」「2オクターブと少し上のド#」などの音が含まれているということです。

人間の耳には最も大きな音である基音が聞こえるので、ラの音に聞こえているというわけです。

オーバートーン練習とは:倍音を出す練習

オーバートーン練習は、基音を壊すことで倍音を取り出す練習です。

音を出すと「基音」「第2倍音」「第3倍音」「第4倍音」「第5倍音」……が同時に出ます。

音量の大きさは「基音」が最も大きく、「第2倍音」「第3倍音」「第4倍音」「第5倍音」……となるにつれて徐々に小さくなっていきます。

「基音」を壊せば「第2倍音」が最も大きな音になるので第2倍音が聞こえます。同様に「第2倍音」も壊せば「第3倍音」が聞こえます。

これが倍音を出すメカニズムです。

基音を壊す方法

「基音」を壊すためには息のスピードを上げる必要があります。

低い音はゆっくりと振動する必要があるので、スピードの速い息を吹き込むことで基音の音の波を壊すことができます。

より速いスピードの息を吹き込めば「基音」だけでなく「第二倍音」も壊すことができます。

このように息のスピードをどんどん上げていくことで、より多くの倍音も壊すことができ、より高い倍音が聞こえるようになります。

オーバートーン練習はいい音を出せるようになるために必要

サックスという楽器は非常に音が出やすい管楽器です。その音を出すのに不適切な息を入れても音を出すことができます。

しかし、不適切な息で出した音はいい音にはなりません。いい音を出すためには適切な息を入れる必要があります。

適切な息が「オーバートーンを出せる息」なのです。

例えば「オクターブキーを押したファ」を出すのに適した息は「最低音のシ♭の指使いで第3倍音を出すことができる息」だということです。

適切な息を使っていい音を出すためにオーバートーン練習が効果的です。

私もオーバートーンで出せる音域が広がるにつれて、明らかに出る音が変わりました。オーバートーンで出せる音域とオーバートーンで出せない音域で明らかに音質が違います。

サックスでオーバートーン練習をする7つの効果

オーバートーンの練習はその音に合った適切な息をつかむのが目的です。しかし、オーバートーンの効果はそれだけではありません。

オーバートーン練習をすることで次の7つの効果があります。

  • サックスがよく鳴るようになる
  • リードミスが減る
  • 音程が良くなる
  • 音をコントロールできるようになる
  • かみすぎが改善される
  • 音をイメージしてから息を入れる習慣が身につく
  • 音質が均質になる

サックスがよく鳴るようになる

オーバートーンを出しているときの指使いは、最低音のシから低いミまでの指使いです。

サックスを長く使っているので、サックス全体が鳴っている状態です。サックス全体が鳴っている状態と同じ息の使い方で全ての音域を出すことになるので、楽器全体を鳴らす奏法が身に付きます。

リードミスが減る

リードミスとは、リードの異常な振動によって超高音が発生することで、意図しない倍音が発生している状態です。

オーバートーン練習を行うことで倍音のコントロールが上手になるので、意図しない倍音であるリードミスが減ります。

音程が良くなる

音程をコントロールするためには息のスピードと口の中の形や舌の位置を上手にコントロールできる必要があります。

オーバートーンを出すためには息のスピードと口の中の形や舌の位置を適切にコントロールする必要があります。

つまり、オーバートーン練習と音程のコントロールはやることがほとんど同じです。オーバートーンがうまく出せるようになるにつれて音程のコントロールもうまくなっていきます。

音色をコントロールできるようになる

オーバートーンではマッチングを行います。マッチングとは実音と倍音の音程や音色を合わせるトレーニングです。

マッチングを行うことで音色のコントロールが身につきます。

マウスピースのかみすぎが修正される

マウスピースをかんだ状態では高音域のオーバートーンを出すことはできません。オーバートーンの練習が上達するにつれて自然とマウスピースのかみすぎは修正されます。

音をイメージしてから息を入れる習慣が身につく

オーバートーン練習では同じ指使いでさまざまな音程の音を出します。指に頼っていてはオーバートーンを出すことはできません。

まず音を頭の中にイメージして、「〇〇の音を出すぞ」と意識し、体の準備をしてから息を入れることではじめて狙った音を出すことができます。

オーバートーン練習を繰り返すうちに音をイメージしてから息を入れる習慣が身につきます。

音質が均質になる

オーバートーン練習では実音と倍音の音質をそろえていきます。オーバートーン練習を繰り返していくうちに全音域の音質がそろっていきます。

オーバートーン練習は最低音のシ♭が出せるようになったらすぐに始める

オーバートーン練習は最低音のシ♭を出せるようになったらすぐに始めることをおすすめします。

「サクソフォーン教本」を使って毎日1時間の練習を8か月続ければ最低音のシ♭が出せるようになります。

練習期間は私の過去の練習記録から計算しています。

関連記事

「サクソフォーン教本」 については「【最初の一冊】サクソフォーン教本(大室勇一先生)の使い方」で詳しくお伝えしています。

サックスの練習をはじめて8か月という時期はまだ初心者ですが、オーバートーンの練習は始めるべきだと考えています。

ロングトーンよりもオーバートーンを先にすべきと考える理由

世間ではオーバートーンはロングトーンの応用のように言われていますが、どちらも試した結果、逆なのではないかと感じています。

オーバートーン練習は失敗と成功が非常に分かりやすいので、「イメージ→演奏→チェック」を繰り返すという楽器の練習の基本がやりやすいというのが大きな理由です。

楽器の練習を機械的に繰り返すクセをつけてしまうと上達が大幅に遅れてしまいます。きちんと「イメージ→演奏→チェック」をやるクセをつけるためにはオーバートーンは最適です。

対してロングトーンは目指す音色に自分の音を近づけていくという練習で、失敗と成功が非常に曖昧です。ロングトーンは何も考えずに機械的に繰り返すくせがつきやすいです。

ロングトーンの方が応用的な練習で、初心者にはリスクも大きいと考えています。

オーバートーンの練習方法:実音と倍音の音色を合わせる

オーバートーン練習では次の練習を全音域で行います。基本的には全てスラーで行います。スラーでできない場合は慣れるまでタンギングを入れることもあります。

時間4秒4秒2秒2秒2秒2秒2秒2秒4秒

「指:下」「音:上」がオーバートーン(倍音)です。「指:下」「音:下」と「指:上」「音:上」は指使いと同じ音を出しています。

オーバートーン練習では「通常の指使いのときの音(音色・音程)」を「オーバートーンを出しているときの音(音色・音程)」に近づける意識で行います。

【倍音別】オーバートーンの練習のコツ

基音(最低音のシ♭~オクターブキーを押さないミ)のコツ

オーバートーン練習を効果的に行うためには実音をしっかりと出せることが大前提です。

最も難しいのは最低音のシ♭なので、まずはシ♭を適切に出せるようにする必要があります。

シ♭が出せるなら他の実音も出せるはずです。

適切なシ♭を出すためには次の3点を意識してください。

  • 舌は自然な位置に置いて力は抜けていること
  • 寒い日に手を温める要領で「ホー」っという息を出すこと
  • 下唇でリードの振動がビリビリと感じるくらい口を緩めていること

オーバートーン練習は低音から積み上げていく形で行っていきます。

第2倍音(オクターブキーを押さないシ~オクターブキーを押すミ)のコツ

第2倍音を出すのに口元やのどを全く変化させる必要はありません。腹筋を使った息のスピードの変化だけで出すことができます。

実音のときは「ホー」と出している息を第2倍音を出すときに「フッ」と切り替えるイメージです。

腹式呼吸がある程度できていれば第2倍音は腹筋だけで出せます。

関連記事

腹式呼吸については「【初心者向け】サックスの息の入れ方【腹式呼吸の練習法も】」で詳しくお伝えしています。

第3倍音が出てしまうのであれば、マウスピースをかんでしまっています。オーバートーン練習でも絶対にマウスピースをかんではいけません。

もし全くかんでいないのに第3倍音が出てしまう場合は、リードが古くなっているか、柔らかすぎる可能性があります。リードを交換してみることをおすすめします。

オクターブキーを押すレの変え指

「オクターブキーを押さないレ」のオーバートーン練習をするときには「オクターブキーを押すレ」の変え指を使います。

「オクターブキーを押すレ」の変え指は「オクターブキーを押さないド」に「パームキーのミ♭」を加えた指使いです。

オクターブキーを押すミ♭の変え指

「オクターブキーを押さないミ♭」のオーバートーン練習をするときには「オクターブキーを押すミ♭」の変え指を使います。

「オクターブキーを押すミ♭」の変え指は「パームキーのファ」のみを押す指使いです。

オクターブキーを押すミの変え指

「オクターブキーを押さないミ」のオーバートーン練習をするときには「オクターブキーを押すミ」の変え指を使います。

「オクターブキーを押すミ」の変え指は「パームキーのファ」に「右手サイドキーのファ#」を加えた指使いです。

第3倍音(オクターブキーを押すファ~オクターブキーを押すラ)のコツ

第3倍音を出す場合も基本的には腹筋を使った息のスピードだけで出せます。

ただし、第2倍音のときよりも息のスピードを上げるので、口周りの周辺に筋肉に力を入れないとマウスピースの周辺から息が漏れてしまいます。息漏れを防ぐという目的で少しだけ口に力を入れます。

口周辺の筋肉が鍛えられていれば必要ないかもしれません。この記事執筆時点の私の技量では少しだけ口周辺の筋肉に力を入れて息漏れを防いでいます。

息漏れを防ぐという以上の意味で口に力は入れません。のども舌も特に何も変えません。

同じ第3倍音でも、「オクターブキーを押すソ」から「オクターブキーを押すラ」はスラーで実音から倍音に上がるのが難しいです。

スラーが難しい場合は間にブレスを入れて息を入れなおすのもありとしています。

第4倍音(オクターブキーを押すシ♭~オクターブキーを押すド#)のコツ

第4倍音は腹筋だけでは出すことができません。のどの周辺、舌の根本あたりを上げて息の通り道を狭くしてスピードを上げる必要があります。

マウスピースをかんではいけません。マウスピースをかんでも倍音は出ないですし、仮に出たとしても「いい音を出せるようになる」という練習になりません。

のどの形のイメージは裏声です。裏声を出すイメージを持つと舌の根本が上がるので、その口の形で息を入れます。

第4倍音になると、かなりの息のスピードが必要になるので、息の量を減らすと出しやすくなります。

本来は息の量を減らさなくても出せるのですが、息の量を減らした方が息のスピードは上げやすいので慣れるまでは息の量は減らすことをおすすめします。

第5倍音(パームキーを押すレ~パームキーを押すミ)のコツ

第5倍音は非常に難しいです。私もいつも出せるわけではなく、疲労や調子、リードの状態によっては出せないこともあります。

第5倍音を出すためには息の量を第4倍音を出すときよりさらに減らすことと裏声を出すイメージを持つことが大切です。額のあたりから音を出すイメージを持つと出やすいです。

第6倍音(パームキーを押すファ)

第6倍音は私自身まだ一瞬しか出せません。現在試行錯誤を続けています。おそらく口周りや腹筋周辺の筋肉ができてくれば出るようになると予測しています。

第6倍音で長く伸ばせるようになり次第、コツを追記します。

私はオーバートーンの練習を毎日10分から20分ほど1年半くらい続けていますが、第6倍音はまだ出せません。

私と同じ状態の人もいると思いますが、気にしないでください。オーバートーンは年単位で身につけていくものだと考えて気長に練習していきましょう。

【まとめ】オーバートーンを身につけるには時間がかかる

サックスの音程や音色をよくするためにはオーバートーンの練習は必要不可欠です。オーバートーン練習は最低音のシ♭が出せるようになったらすぐに始めることをおすすめします。

オーバートーン練習では次の練習を全音域で行います。基本的には全てスラーで行います。スラーでできない場合は慣れるまでタンギングを入れることもあります。

時間4秒4秒2秒2秒2秒2秒2秒2秒4秒

オーバートーン練習では「通常の指使いのときの音(音色・音程)」を「オーバートーンを出しているときの音(音色・音程)」に近づける意識で行います。

オーバートーン練習は非常に時間がかかるので、年単位でできるようにしていく意識であせらずに取り組んでいきましょう。

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