- スケール練習をする意味が分からないんだけど……
- スケール練習をする具体的な方法が分からない
- スケール練習を飽きずにする方法を教えて!
大切だと聞いたからスケール練習をしているけれど面白くなくて楽しめない人が非常に多いです。スケール練習をやる意味が分からなくてモチベーションを維持できない人も多いです。
私も最初はスケール練習の意味が分からなかったのですが、続けていくうちに大きな効果が得られました。
スケール練習にゲーム性を取り入れて楽しむ方法も考えました。今ではスケール練習を楽しみながらできています。
この記事ではスケール練習の意味と効果、スケール練習を楽しむ方法をお伝えします。
この記事を読むことで、スケール練習を行うモチベーションが上がり、楽しんでスケール練習を続けていくことができるようになります。
結論を一言で言うと、スケール練習には#や♭を間違えないようになる、音質をそろえることができるという効果があります。
スケール練習は「成功したらテンポを上げる」「失敗したらテンポを下げる」「テンポが遅い調を積極的に練習する」「全ての長調で♪=200まで行ったら短調に挑戦する」というルールでやるとゲームのように楽しめます。
スケール練習の意味と効果
スケール練習をすることで次のような効果が得られます。
- #や♭を間違えないようになる
- 全音域の音質がそろうようになる
- 指が速く動くようになる
#や♭を間違えないようになる
スケール練習をすることで、どの音に#や♭をつけなければならないのか瞬間的に分かるようになります。結果、#や♭のミスを大幅に減らすことができます。
調によって演奏の難しさが異なる人はスケール練習をすることで苦手な調をなくすことができます。
全音域の音質がそろうようになる
スケール練習を全音域で行うことで、音質がそろうようになります。
特にオクターブキーを押さない音とオクターブキーを押す音で音質の違いが大きい人はスケール練習をすることで音質をそろえることができます。
指が速く動くようになる
スケール練習をすることで指が速く動くようになります。
調によっては非常に#や♭が多いものがあります。#や♭が多い調を練習すれば、普段はあまり使わない左手小指のテーブルキーを大量に使う練習ができます。
スケール練習のテンポを上げていけば指がどんどん動くようになっていきます。
スケール練習は全音域を出せるようになったら始める
スケール練習は全音域を出せるようになったらすぐに始めることをおすすめします。
「サクソフォーン教本」を使って毎日1時間の練習を1年続ければ全音域が出せるようになります。
全音域だせるようになってすぐにスケール練習を始めることでスケール練習の効果を最大に得ることができます。
サックスにおすすめのスケール教本:すぐに役立つサクソフォーンスケール
スケール練習におすすめの教本は「すぐに役立つサクソフォーンスケール」です。
須川展也先生の「サクソフォーンのためのトレーニングブック」という教本があります。有名で、非常に素晴らしい教本です。
しかし、非常に高度な内容も含まれていて、初心者が取り組むのは精神的にきついかもしれません。
そういう理由から初心者には「すぐに役立つ サクソフォーンスケール」をおすすめしています。
スケールは全部で長調1種類・短調3種類
スケールは長調が1種類、短調が3種類あります。
長調(メジャースケール):全・全・半・全・全・全・半
主音(スケールの最初の音)から「全音」「全音」「半音」「全音」「全音」「全音」「半音」と音を集めて作った調が長調です。
まずは長調を身につけることが大切です。
1オクターブを12分割して音を作ったときの1つ分が半音です。全音というのは半音2つ分です。
「ド」から1オクターブ上の「ド」までを12分割したものが次の音階です。
「ド」「ド#」「レ」「レ#」「ミ」「ファ」「ファ#」「ソ」「ソ#」「ラ」「ラ#」「シ」「ド」
ドから始まって「全」「全」「半」「全」「全」「全」「半」という音を集めると「ドレミファソラシド」になります。これがハ長調です。
ファから始まって「全」「全」「半」「全」「全」「全」「半」という音を集めると「ファソラシ♭ドレミファ」になります。これがヘ長調です。
ソから始まって「全」「全」「半」「全」「全」「全」「半」という音を集めると「ソラシドレミファ#ソ」になります。これがト長調です。
このような音階を「ド」「ド#」「レ」「レ#」「ミ」「ファ」「ファ#」「ソ」「ソ#」「ラ」「ラ#」「シ」の12種類の全ての音から始めることができます。
そうやって12種類の長調を作ることができます。
まずは全ての長調をスムーズに演奏できるようになるまで練習することが大切です。
自然的短音階(ナチュラルマイナースケール):全・半・全・全・半・全・全
主音から「全音」「半音」「全音」「全音」「半音」「全音」「全音」と音が移動していく調が自然的短音階です。
「ラ」から1オクターブ上の「ラ」までを12分割したものが次の音階です。
「ラ」「ラ#」「シ」「ド」「ド#」「レ」「レ#」「ミ」「ファ」「ファ#」「ソ」「ソ#」「ラ」
ラから始まって「全」「半」「全」「全」「半」「全」「全」という音を集めると「ラシドレミファソラ」になります。これがイ短調です。
レから始まって「全」「半」「全」「全」「半」「全」「全」という音を集めると「レミファソラシ♭ドレ」になります。これがニ短調です。
ミから始まって「全」「半」「全」「全」「半」「全」「全」という音を集めると「ミファ#ソラシドレミ」になります。これがホ短調です。
このような音階を「ド」「ド#」「レ」「レ#」「ミ」「ファ」「ファ#」「ソ」「ソ#」「ラ」「ラ#」「シ」の12種類の全ての音から始めることができます。
そうやって12種類の自然的短音階を作ることができます。
自然的短音階は3種類の短調の中で最も重要度が低いです。自然的短音階は重大な問題があるからです。
自然的短音階の問題を解消したのが次の和声的短音階です。
和声的短音階(ハーモニックマイナースケール):全・半・全・全・半・全半・半
自然的短音階はスケールとして1つ問題があります。
問題は自然的短音階の「全」「半」「全」「全」「半」「全」「全」の最後が「全音」になっているところです。
長調は最後が「半音」なので問題ありません。
ハ長調の「ドレミファソラシド」の場合、最後は「シド」で半音です。最後が半音なことで、ものすごく「シ」から「ド」に行きたいという性質を持っています。
調(スケール)というものは最初の音に戻ろうという性質によって成立します。
「シ」から「ド」に行きたくなるのは、「シ」と「ド」の間隔が半音だからです。最後が全音だとそれほど「ド」に行きたいとは思えません。
自然的短音階は最後が全音なので、調を完成させようという力が弱くなってしまうのです。そこで、最後を半音にしたのが和声的短音階です。
和声的短音階は自然的短音階の6個目の音を半音上げて作ります。
和声的短音階は「全」「半」「全」「全」「半」「全半」「半」となります。
和声的短音階の場合、イ短調は「ラシドレミファソ#ラ」となります。
このような音階を「ド」「ド#」「レ」「レ#」「ミ」「ファ」「ファ#」「ソ」「ソ#」「ラ」「ラ#」「シ」の12種類の全ての音から始めることができます。
そうやって12種類の和声的短音階を作ることができます。
和声的短音階は最も使われる短音階です。練習の優先度も短音階の中で最も高いです。
しかし、和声的短音階にも違和感があります。その違和感を解決したのが旋律的短音階です。
旋律的短音階(メロディックマイナースケール):全・半・全・全・全・全・半
和声的短音階はスケールとして違和感があります。和声的短音階の「全」「半」「全」「全」「半」「全半」「半」の「全半」になっているところです。
「全半」というのは「全音」+「半音」、つまり「半音」3つ分離れているということです。スケールで半音3つ分も音が離れるとどうしても違和感が出てしまいます。
そこで、5個目の音を半音上げて5個目の音と6個目の音を近づけたのが旋律的短音階です。
旋律的短音階は「全」「半」「全」「全」「全」「全」「半」となります。
旋律的短音階の場合、イ短調は「ラシドレミファ#ソ#ラ」となります。
このような音階を「ド」「ド#」「レ」「レ#」「ミ」「ファ」「ファ#」「ソ」「ソ#」「ラ」「ラ#」「シ」の12種類の全ての音から始めることができます。
そうやって12種類の旋律的短音階を作ることができます。
旋律的短音階は和声的短音階の次に重要です。和声的短音階がある程度身に付いたら旋律的短音階に挑戦することが大切です。
スケール練習のコツ
スケール練習では次の5つを意識することで効果的に上達できます。
- 最初に鍵盤でスケールを確認すること
- 自分の音をしっかりと聞くこと
- メトロノームをしっかりと聞くこと
- テンポを一定に保つこと
- スケールを覚えようとはしないこと
最初に鍵盤でスケールを確認すること
音程の上下はサックスの運指では分かりにくいです。そこで、スケール練習の最初に電子キーボードを使って確認することをおすすめします。
電子キーボードなどの鍵盤楽器は右に行けば行くほど高く、左に行けば行くほど低くなるのでイメージ的にスケールがつかみやすいです。
自分の音をしっかりと聞くこと
スケール練習を行う目的の1つは「全音域の音質をそろえること」です。
ただ音を出しているだけでは、全音域の音質をそろえることはできません。しっかりと自分の音を聞いて音質をそろえていく意識を持つことが大切です。
メトロノームをしっかりと聞くこと
メトロノームの音が聞こえないということは、スケールの運指に余裕がないということで、#や♭の有無に意識が持っていかれているということです。
メトロノームの音が聞こえるようにしっかりと余裕を持ってスケールを身につける意識が大切です。
テンポを一定に保つこと
メトロノームを聴くだけではなく、きちんとメトロノームに合わせてスケール練習をすることが大切です。
得意なところだけ速く、苦手なところは遅くといった練習にならないように注意する必要があります。
スケールを覚えようとはしないこと
スケールを覚えようという意識は持たないことをおすすめします。
サックスを続ける限りスケール練習は続けていくので、いつか自然と覚えます。自然と覚え、指が勝手に#や♭の有無を判断するようになります。
覚えようとすると「覚えられない」という悩みが増えるので、「覚えるまでやるから覚えられなくても気にしない」という意識でいることをおすすめします。
スケール練習を楽しむためにゲーム性を取り入れる
スケール練習を毎日しているとモチベーションが下がってしまうことがあります。モチベーションが下がってしまっては効果も半減するので、何とか楽しみながら続けていくことを考えるべきです。
そこで、私はスケール練習にゲーム性を取り入れています。具体的には次のルールでスケール練習をやっています。
- 全ての長調と半音階を「♪=15」でスタートする
- 「スラー」「タンギング」「スタッカート」で全てうまくいけばテンポを1上げる
- うまくいかなければテンポを1下げる
- その日に練習する調をテンポが遅い調から3つ以上選ぶ
- 全ての長調で「♪=200」まで上がったら和声的短音階に入る
- 和声的短音階も全く同じルールで行い、全ての和声的短音階で「♪=200」まで上がったら旋律的短音階に入る
このようなルールでスケール練習をすることで、必然的に苦手な調を多く練習することになります。苦手な調を作らないという目的の達成に役立ちます。
また、スケール練習の上達具合がテンポで分かるので、モチベーションの維持にも役立ちます。
私はこのルールでスケール練習をしているのですが、全体的にテンポが上がっていくのでかなり楽しめています。
【まとめ】スケール練習は全音域を出せるようになったらすぐに始めよう
スケール練習は非常に効果的です。スケール練習をすることで、そのスケールで使う音を自然と身につけることができます。
スケール練習を繰り返して指が勝手に動くようになれば、#や♭を忘れたり必要ないのにつけてしまったりするミスが激減します。全音域の音質がそろうという効果もあります。
スケール練習は非常に効果的なので、全音域を出せるようになったらすぐに始めることをおすすめします。
スケール練習の教本には「すぐに役立つ サクソフォーンスケール」をおすすめします。
スケールには長調と短調がありますが、最初は長調だけで構いません。長調がある程度できるようになったら短調にも挑戦していきましょう。
スケール練習をするときにはゲーム性を取り入れると楽しみながら続けることができます。
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